Vol.9
卒業生便り first letter


新居浜高専は昭和37年の開校以来、5600人を超える卒業生を輩出してきました。卒業生の多くは優れた技術者として、国の内外を問わず様々な産業現場で活躍し、世界をリードする日本の産業発展に貢献しています。
『卒業生便り』では、こうした卒業生からのお便りを紹介します。

今回は昭和46年に電気工学科を卒業した高橋諭史さんからのお便りを紹介します。
高橋さんは、中国上海にあるシャープの家電製品開発設計センターで所長を務めておられます。来年3月の学生の海外研修でも工場見学等をさせていただくことになっており、本校の国際交流活動においても大変お世話になっております。
■近況報告
1971年に卒業し、シャープ株式会社に入社、以来ずっと大阪府八尾市の電化システム事業本部で、空調機開発設計の仕事をしておりました。昨年10月より上海の夏普電子(上海)、家用電器開発中心というところで家電商品の設計開発を担当しています。海外出張はこれまで何度か経験しましたが、駐在は初めての経験です。この会社では公用語が英語だが大丈夫かといわれ、『そんなもの毎日使っていればすぐ上達するでしょう』と啖呵を切って出てきたものの、そう簡単には行かず、まだ日本語を使っている毎日です。

上海は、躍進著しい中国の中でも先端を走っている大都会です。進出している日系企業も多く、日本人駐在者は3万5千人、出張者も含めると常時5万人の日本人がいると言われています。もしかすると今上海には母校の卒業生も何人かは居られるのかも知れません。
8月には新居浜高専の水野校長先生、深山先生が上海に来られ、ひょんなことから弊社にお立寄りいただきました。初対面なのに、母校の先生方だと思うとすぐ親しくお話させていただくことができ幸せでした。

(左:水野校長,中央:高橋さん,右:深山教授)

■新居浜高専で学んだこと
今の時代、子供でもパソコンを使うようになっていますが、在学中はコンピュータに触れるような時代ではありませんでした。ところが5年生の10月頃でしたか、クラス全員が突然コンピュータの理論について集中講義を受けることになりました。この講義で2進数やプログラム言語(フォートラン)を学んで卒業したことで、入社後、“ミニコン”(いまどき通じますか?)が導入されたとき、ごく自然にコンピュータに触れることができたように思います。おかげでその後、自然と実験データの解析プログラムや簡単な性能シミュレーションプログラムを作るようになり、仕事に大変役に立ちました。よくあの時集中講義をして下さったものだと感謝しています。

■新居浜高専での思い出
ご他聞に漏れず試験前の一夜漬けをよくやりました。試験期間中は午前中の試験の後、午後睡眠、夕方から徹夜をして試験準備をしていました。そこへ悪友が来て『一緒に勉強する?』ですから、勉強熱心な友達が多かったと言えます。
国領祭も記憶に残る行事ですね。前夜祭で、皆で阿波踊りをしながら昭和通りを練り歩いたことや、運動会のアーチ作りで夜遅くまで一緒に大魔神を作ったことを思い出します。
(国領祭での阿波踊り)

なんといっても最高の思い出は、3年生の夏に、級友と二人自転車で北海道まで行ったことです。確か50日間ほど(ちょっとは授業をサボったかも)をかけて、本州の太平洋側を北上して青森へ、函館から北海道を反時計回りで一周、本州の日本海側を南下して帰ってきました。8月10日頃、最北端の宗谷岬に着いたときは感激ひとしおでした。
帰り道、石川県の九谷で日本地図と走破コースを描いた湯飲みを作り、今でも大事に飾っています。

(宗谷岬日本最北端の碑)

(思い出の湯飲み)
このとき一緒に行った級友は昨年八尾の工場を訪ねてくれ、34年ぶりに再会しました。互いに年を取っていても、会った瞬間にあたかも学生時代そのままであるかのように話しをすることができました。青春時代の5年間をともにした友というのは特別な存在ですね。親友たちとは今もメールで近況を報せ合っています。


■在校生へのメッセージ
日本は豊かになりました。1ドル360円が100円前後になって久しく、海外旅行は当たり前、ドルショック、石油ショックも遠い過去の事で、バブル崩壊後の不況も乗り越えつつあります。私が今上海に居るのも、ある意味ではそのような時代の流れがもたらした必然の結果と言えるかも知れません。
高専一期生の方々が今年ご定年をお迎えですが、団塊の世代の退職、少子化、環境問題といった次の大きな課題にさまざまな面で対応が始まっています。

このような変化の中で、何事にも前向きに対応するということが最も大切なことのように思います。今、反省しているのは、もっと英語をやっておけばよかったということです。35年前にもいずれ外国へ行く機会が増えることは判っていたはずなので、社会に出てからでももっと勉強しておくべきでした。前向きに考えるにも基礎学力は必要ですね。私の前向きには無鉄砲という部分が多いようです。今からでも遅くない、頑張ります。

最後に、中国で最初に覚えた文章をご紹介します。
『高々興々上班来、平々安々回家去』
(ガオガオシンシンシャンバンライ、ピンピンエンエンホイジャーチュウ)
工事現場などにある標語らしく、『生き生きと仕事に出かけ、心安らかに帰宅しよう』という意味ですが、素朴ながら元気の出る言葉で気に入っています。

新居浜高専では、同窓会と学校とのネットワークの形成を推進しています。今年度の国領祭では「燧会(同窓会)集いの広場」を企画しました。
卒業生が集まって、○思い出話や近況を語り合う場、○教職員や在校生との交流を深める場、○同窓会活動の活性化のためのご意見・ご提案をいただく場、として設けたものです。
今後ともこうした活動を進めていきますので、よろしくお願いいたします。

◇新居浜高専メールマガジンでは、卒業生の皆様からのお便りをお待ちしております。
宛先:卒業生の皆様からのお便りをお待ちしております。

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